ゲーミングPCを自作するとき、CPUやグラフィックボード(GPU)に注目しがちですが、実はそれらの性能を支える電源ユニット(PSU)こそ、PCの安定性と寿命を左右する大切なパーツです。「なんでもいいんじゃないの?」と思ってしまいがちな電源ですが、適当に選ぶと最悪の場合、PC全体にトラブルを引き起こすこともあります。
この記事では、高校生や大学生といった若い世代のゲーミングPCビルダーに向けて、電源ユニットの基本的な知識から選び方、さらに2025年現在おすすめのモデルまで、分かりやすく丁寧に解説していきます。これを読めば、電源ユニットで迷うことはなくなるはずです!
電源ユニット(PSU)とは何か?

電源ユニット(Power Supply Unit)は、コンセントからの交流電力(AC)を、PCの各パーツが使用できる直流電力(DC)に変換して供給する装置です。PC内部では、CPUやGPU、マザーボード、ストレージなど、すべてのパーツがこの電力で動いています。そのため、電源ユニットが不安定だったり、供給が不足していたりすると、最悪の場合、起動しなかったり、プレイ中に電源が落ちたり、パーツの寿命が縮まったりする原因になります。
また、ゲーミングPCは一般的な事務用PCと比べて消費電力が高くなりがちです。高性能なグラフィックボードを使えば、ゲーム中の電力消費が一気に上がります。こうした高負荷に耐えられる電源ユニットを選ぶことが、快適なゲーム体験につながります。
電源ユニットを選ぶ上で押さえるべき5つのポイント

電源ユニットを選ぶときは、以下の5つのポイントを押さえておくと間違いありません。
1. 必要な容量(W数)を知ろう
まず注目すべきは、電源ユニットの出力容量です。これは”ワット(W)”で表示されており、PCがどれくらいの電力を使うかによって必要な容量が変わってきます。
例えば、グラフィックボードを搭載したゲーミングPCでは、おおよそ500W〜850W程度の容量が必要になります。ここで大切なのは、単にパーツの消費電力を合計するのではなく、余裕を持たせて設計することです。PCは起動時やゲーム中に一時的に大きな電力を必要とすることがあるため、常に余裕のある電源選びを心がけましょう。
目安としては、想定消費電力の30%ほど多めの容量を選ぶと安心です。例えば、全体でおおよそ400W程度の消費が見込まれる構成であれば、600Wクラスの電源を選ぶのが理想です。
2. 80 PLUS認証をチェックしよう
電源ユニットの品質を示す指標のひとつが「80 PLUS(エイティ・プラス)認証」です。これは、電源の変換効率を表しており、電力ロスが少ない=効率よく電力を供給できることを意味します。
この認証にはいくつかのランクがあり、上位のものほど効率が良くなります。
- White(認証なし)
- Bronze
- Silver
- Gold
- Platinum
- Titanium
ゲーミングPCでは、コストパフォーマンスと性能のバランスを考えると「Gold認証以上」を選ぶのがオススメです。変換効率が高いと、発熱も少なくなり、電気代も抑えられます。
3. 静音性と冷却性能もチェック
電源ユニットにはファンが内蔵されており、発熱を抑えるために空冷を行います。しかし、安価なモデルではファンの音が大きく、ゲームプレイ中の雑音の原因になることも。
最近では、「セミファンレス」と呼ばれる仕組みを採用したモデルも増えています。これは、軽い作業の時はファンを回さずに静かに動作し、高負荷時のみファンを動かすというものです。PCの静音性を高めたい人や、夜中にゲームをする人には特にオススメの機能です。
4. ケーブル方式(モジュラータイプ)を選ぼう
電源ユニットには、パーツへ電力を送るためのケーブルがついています。このケーブルの接続方式には3つの種類があります。
- 固定式:すべてのケーブルが最初から本体についている
- セミモジュラー式:一部は固定、残りは必要に応じて接続
- フルモジュラー式:すべてのケーブルが着脱式
フルモジュラー式のメリットは、必要な分だけケーブルを接続すればよいため、ケース内の配線がスッキリしやすく、エアフローや見た目にも良い影響を与える点です。初心者でも配線ミスが減るため、慣れていないうちはセミモジュラーかフルモジュラーを選ぶのが良いでしょう。
5. 信頼できるメーカーを選ぼう
最後に大切なのが、「どこのメーカーが作っているか」です。電源ユニットは、一見すると性能差が分かりづらいパーツですが、内部の部品の品質や設計の丁寧さが大きく影響します。
有名で信頼されているメーカーを選べば、動作の安定性も保証も期待でき、万が一の際の対応も安心です。以下のメーカーは、特にゲーミングPCユーザーから高評価を得ている定番ブランドです。
- Corsair(コルセア)
- Seasonic(シーソニック)
- Cooler Master(クーラーマスター)
- Thermaltake(サーマルテイク)
- 玄人志向(くろうとしこう)
特に国内で人気なのは玄人志向やCorsairで、価格と性能のバランスが良いため、初めての自作にも向いています。
用途別|電源容量の目安

では、実際にどれくらいの容量を選べばいいのか、使用目的に合わせて目安を紹介します。
ライトゲーマー(LoL、VALORANTなど)
- GPU:GTX 1650〜RTX 3050クラス
- CPU:Core i3〜i5、Ryzen 5
- 推奨容量:450W〜550W
比較的軽いゲームが中心なら、それほど高い電力は必要ありません。省エネ重視で、コンパクトなケースにも入る小型電源もおすすめです。
ミドルレンジゲーマー(APEX、Fortniteなど)
- GPU:RTX 3060〜4060Ti、RX 6600〜6700XT
- CPU:Core i5〜i7、Ryzen 5〜7
- 推奨容量:600W〜750W
人気のミドルレンジ帯。将来的なパーツ増設を考えて、余裕を持った650W以上が安心です。
ハイエンドゲーマー(4KやMOD、動画編集など)
- GPU:RTX 4070Ti〜4090、RX 7900XTX
- CPU:Ryzen 9、Core i9など
- 推奨容量:850W〜1000W以上
消費電力が非常に高くなるので、80PLUS Gold以上・フルモジュラー式で品質重視の電源を選びましょう。
よくある質問(Q&A)
まとめ

電源ユニットは、ゲーミングPCの心臓部とも言える重要パーツです。適切な容量、信頼できる認証とメーカー、静音性やケーブルの使いやすさなど、ポイントを押さえて選べば長く快適に使えます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、自分のプレイスタイルと予算をもとに、少しだけ余裕を持ったスペックを選ぶのがコツです。この記事を参考に、ぜひ自分にぴったりの電源ユニットを見つけてください!
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